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大通智勝如来

御本尊_大通智勝如来 お遍路情報

四国八十八ヶ所には、さまざまな仏さまが御本尊として祀られています。その中でも大通智勝如来(だいつうちしょうにょらい)は、現在の仏教で広く知られている仏さまとは少し異なり、『法華経』に登場する非常に遠い過去の仏さまです。

大通智勝如来は、『法華経』の「化城喩品(けじょうゆほん)」に説かれている仏さまで、十六人の王子に法を説いた仏として知られています。その十六王子の中には、後に仏となった釈迦如来も含まれており、大通智勝如来は釈迦如来の過去世と深い関わりを持つ仏さまとされています。

四国八十八ヶ所では、第55番南光坊の1ヶ所だけで、大通智勝如来が御本尊として祀られています。

この記事では、大通智勝如来とはどのような仏さまなのか、『法華経』との関係や十六王子の物語、姿や御利益についてわかりやすく解説します。

大通智勝如来とは?

大通智勝如来は、『妙法蓮華経』の第7章「化城喩品」に登場する仏さまです。

「大通智勝」という名前には、広大で優れた智慧によって、あらゆるものを見通す仏という意味を読み取ることができます。

『法華経』では、大通智勝如来は現在から想像できないほど遠い過去に現れた仏として説かれています。その時間の長さは「三千塵点劫」という非常に遠い過去として表現され、人間の通常の時間感覚をはるかに超えたものとして語られています。

大通智勝如来が重要なのは、その後の釈迦如来へとつながる仏教の教えの因縁が説かれている点です。

大通智勝如来はどんな姿をしている?

大通智勝如来は、一般の仏像のように全国的に多数の像が知られている仏さまではありません。
南光坊では、大通智勝如来を御本尊として祀っており、脇侍として観音菩薩と弥勒菩薩が安置されています。現在の御本尊は秘仏とされています。
大通智勝如来は、釈迦如来と同じように仏として表されますが、特に『法華経』の世界における過去仏として信仰されている点が特徴です。

御利益

智慧を得る / 正しい道を見つける / 迷いや悩みから抜け出す / 仏道への縁を結ぶ / 学びや修行を続ける力を得る / 悟りへの道を歩む

御影

御真言

なむ だいつうちしょう ぶつ

🔊 御真言を聞く

『法華経』に登場する大通智勝如来

『法華経』の「化城喩品」では、大通智勝如来には十六人の王子がいたと説かれています。

大通智勝如来が成仏したことを知った王子たちは、父である仏のもとを訪れ、教えを説いてほしいと願います。

大通智勝如来は、王子たちや人々に教えを説き、その後、十六人の王子たちは出家して沙弥となります。そして大通智勝如来から『法華経』の教えを受け、それぞれが人々に法華経を説いていったとされています。

この十六人の王子の第十六番目が、後の釈迦如来とされています。

そのため大通智勝如来は、釈迦如来が仏となる遠い過去の因縁に関わる仏さまとして、『法華経』の中で重要な意味を持っています。

大通智勝如来と釈迦如来の関係

大通智勝如来と釈迦如来の関係を理解するうえで重要なのが、十六王子の物語です。

大通智勝如来の十六人の王子は、父である仏から法を学び、その後、自らも人々に教えを説きました。その第十六王子が、現在の釈迦如来につながる存在とされています。

つまり『法華経』では、釈迦如来の教えはインドで突然始まったものではなく、はるか遠い過去から続く仏との因縁の中で説かれていると考えられています。

このような教えは「大通結縁(だいつうけちえん)」とも呼ばれ、過去の仏との縁が現在の仏道へとつながっていることを示しています。

大通智勝如来の御利益

大通智勝如来は、特定の現世利益だけを願う仏さまというよりも、智慧を得て仏道を歩むこと、正しい教えに目覚めることと深く関係する仏さまと考えることができます。

『法華経』では、大通智勝如来が人々を導き、十六王子へ教えを伝え、その教えがさらに後の人々へ受け継がれていきます。

そのため、大通智勝如来への信仰では、次のような願いと結びつけて考えることができます。

  • 智慧を得る
  • 正しい道を見つける
  • 迷いや悩みから抜け出す
  • 仏道への縁を結ぶ
  • 学びや修行を続ける力を得る
  • 悟りへの道を歩む

特に大通智勝如来は「智慧」という名前を持つことから、物事の本質を見極め、迷いを離れて正しい方向へ進むことを願う仏さまとして理解するとよいでしょう。

大通智勝如来を御本尊とする四国八十八ヶ所の札所

四国八十八ヶ所で大通智勝如来を御本尊としている札所は、第55番南光坊の1ヶ所だけです。

第55番 南光坊

**第55番札所・南光坊(なんこうぼう)**は、愛媛県今治市の中心部にある札所です。

南光坊は、もともと伊予国一宮として知られる大山祇神社と深い関係を持つ寺院でした。大三島にある大山祇神社の別宮に関係する別当寺として複数の坊が置かれ、そのうちの一つが南光坊の起源とされています。

明治初年の神仏分離によって大山祇神社と南光坊が分離され、それまで本地仏として祀られていた大通智勝如来が南光坊へ移されました。今治市も、この神仏分離によって大通智勝仏が南光坊の本堂に移されたと説明しています。

南光坊の御本尊は秘仏とされており、大通智勝如来とともに観音菩薩、弥勒菩薩が祀られています。『法華経』に登場する大通智勝如来を実際に御本尊としてお参りできる、四国八十八ヶ所で唯一の札所です。

まとめ

大通智勝如来は、『法華経』の「化城喩品」に登場する、はるか遠い過去の仏さまです。

十六人の王子に教えを説き、その第十六王子が後の釈迦如来につながるとされていることから、釈迦如来の教えと深い因縁を持つ仏さまといえます。

四国八十八ヶ所では、第55番南光坊だけが大通智勝如来を御本尊としており、八十八ヶ所の中でも非常に珍しい御本尊です。

四国遍路で南光坊を訪れた際には、単に「55番目の札所」としてだけでなく、『法華経』に説かれる遠い過去の仏、大通智勝如来と釈迦如来へとつながる仏教の物語にも思いを馳せながら参拝してみると、より興味深いお遍路になるでしょう。

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