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歩き遍路20日目

歩き遍路 20日目 歩き遍路の記録

宿毛から松尾峠を越え、いよいよ愛媛県へ。距離を短縮できる松尾峠遍路道は、台風の影響で荒れていたものの、無事に県境を越えることができた。一本松、愛南町を経由して40番観自在寺へ。愛媛県最初の札所で「菩提の道場」に入り、通夜堂に泊まりながら地元の盆祭りにも出会った一日だった。

行程表

8月14日 はれ
  • 7:00
    出発
    1. あるね屋
    2. 宿毛市街地
    3. 松尾峠
    4. 一本松
    5. 愛南町
  • 15:30
    40番 観自在寺

    通夜堂

歩き遍路 20日目

朝の準備

8月14日、晴れ。

昨日は、以布利から三原村を経由して39番延光寺を参拝し、近くの直売店の敷地内で野宿をさせてもらった。

朝、周囲を見渡すと地面が濡れている。どうやら昨晩、一時的に雨が降ったようだ。

野宿では、こういうこともある。突然の雨に備えるためにも、できるだけ屋根のある場所を選ぶことが大切だと改めて感じた。

身支度を整え、午前7時前に出発する。

あるね屋で野宿した朝

宿毛へ向かう

最初の目的地は、延光寺から西へ約8kmのところにある宿毛だ。

国道56号線を一本道で進むため、道に迷う心配はそれほどない。宿毛はこの地域では比較的大きな町なので、飲食店や宿泊施設も多い。

途中で宿泊するなら、宿毛は便利な町だと思う。

宿毛から愛媛県へ向かうルートは、大きく2つある。

ひとつは、国道56号線をそのまま進むルート。川沿いの谷間を通るため、高低差は比較的少ないが、そのぶん距離が長い。

もうひとつが、松尾峠を越えるルートだ。

標高約300mの松尾峠を越える必要があるものの、宿毛から愛媛県愛南町へ向かって直線的に進めるため、国道を利用するより距離を短くできる。

歩き遍路なら、こちらのルートがおすすめだ。

松尾峠を歩く

道しるべを頼りに、私も松尾峠遍路道へ向かった。

ところが、先日の台風の影響なのか、遍路道はかなり荒れていた。

小さな枝が道を塞いでいる。

菅笠で頭を守りながら、金剛杖で枝をかき分け、なんとか先へ進んでいく。

松尾峠登山口

松尾峠を越えて愛媛県へ

時刻は11時30分。

急な坂道を登り続け、ようやく愛媛県との県境にある松尾峠に到着した。

松尾峠は少し開けた場所になっていて、小さなお堂が建っている。

立て札を読むと、1800年頃には土佐と伊予を結ぶ主要な道として利用され、当時は茶屋もあったそうだ。

かつて多くの人が行き交った道も、今では静かな遍路道になっている。

その姿を見ると少し寂しい気もするが、時代とともに道の役割が変わっていくのは仕方のないことなのだろう。

松尾峠

松尾峠を越えると、いよいよ愛媛県だ。

車道に出るまでの緩やかな下り坂はきれいに整備されていて、歩きやすかった。

最初にたどり着く町が、愛南町の一本松地区だ。

国道沿いの交差点にはコンビニがある。峠越えで疲れた体を休めたり、飲み物や食料を補給したりするにはちょうどいい。

昔の遍路道にあった茶屋のような存在なのかもしれない。

一本松から観自在寺へ

一本松からは、国道56号線を西へ進む。

観自在寺までは約10km。

途中には約600mの蓮乗寺トンネルがある。

トンネルを抜けたら右手の県道へ入るのだが、ここは少し分かりにくいので注意が必要だ。

県道をしばらく歩いていると、愛南町の市街地に入ってきた。

愛南町は、僧都川によって南北に分かれているのが特徴的な町だ。

飲食店や宿泊施設も多く、愛媛県に入ってから最初の宿泊地としても便利そうだ。

市街地から川沿いを西へ約1km進み、15時30分、40番観自在寺に到着した。

40番観自在寺を参拝

観自在寺を参拝する。

40番観自在寺は、愛媛県で最初の札所だ。

四国遍路では、愛媛県は「菩提の道場」と呼ばれている。

菩提とは、悟りや心の安らぎを意味する言葉だという。

これまで歩いてきた旅を振り返りながら、心を落ち着け、自分自身と向き合う修行の場。

何やら難しい話に聞こえるが、歩きながら少しずつ体得してみる他はないと思った。

40番観自在寺

観自在寺の宿坊 現在は利用できない

観自在寺は、私が歩いた当時、宿坊や通夜堂を利用でき、多くのお遍路さんから評判の良いお寺だった。

少し時間は早かったが、せっかくなので通夜堂を利用してみたいと思い、納経所の方に尋ねてみる。

ありがたいことに、利用の許可をいただくことができた。

※現在は宿坊・通夜堂ともに利用できないため、宿泊を予定している方は注意が必要だ。

観自在寺の通夜堂

通夜堂とは、四国八十八ヶ所の寺院などがお遍路さんのために提供している簡易的な宿泊場所のこと。

ドミトリーのような形式で、無料で利用できる場合もある。ただし、利用方法やルールはお寺によって異なるので、事前の確認が必要だ。

案内された通夜堂は、四畳ほどの木造の部屋だった。

はしごを使って2階にも上がれる造りになっている。

無料で利用させてもらうには十分すぎる設備だった。

荷物を置き、お寺の水道で軽く汗を流す。

まだ日が暮れるまで時間があるので、境内を歩いたり、周辺の町を散策したりして過ごした。

観自在寺の通夜堂

愛南町の盆祭り

日が暮れ始めると、観自在寺の裏手にある小学校が急に賑やかになった。

何だろうと思って見に行くと、盆祭りが開催されていた。

少しだけ覗いてみる。

屋台が並び、浴衣や着物を着た地元の人たちが行き交っている。

旅の途中で偶然出会った地元のお祭り。

そこには、観光地とはまた違った、地域の人たちの温かさがあった。

しばらく眺めていると、ふと、こんなことを思った。

お遍路だからといって、次の札所へ向かってひたすら歩き続けなければならないわけではない。

急ぐ必要もないのかもしれない。

そんな気持ちが、少しずつ芽生えてきた。

「菩提の道場」という言葉の意味は、まだよく分からない。

それでも、自分の足でここまで歩いてきたことで、ほんの少しだけ、その境地に近づいたような気がした。

そんな夜だった。

寺情報

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