行程表
- 6:00出発
- 大井休憩所
- 水井橋
- 太龍寺 登山道
- 7:5021番 太龍寺
- 道の駅 わじき
- 大根峠
- 大根休憩所
- 12:3022番 平等寺
- 由岐
- 17:00白浜休憩所
野宿

朝の支度と出発
4月30日、晴れ。
朝5時に起きた。
昨晩は土砂降りの雨の中、鶴林寺を下った先にある川沿いの東屋で野宿をした。東屋の中だったので雨は直接当たらなかったものの、テントはすっかり濡れている。
朝になると雨は止んでいた。
ただ、空にはまだどす黒い雲が残り、山には霧が立ちこめている。服も靴も乾いていない。仕方なく、濡れた服をそのまま着る。
テントを畳み、出発の準備をする。雨を吸ったテントや衣服のせいで、バックパックがいつもより重く感じる。
朝食もほとんどない。先日、食料を買いそびれてしまったのだ。残っている行動食を少しだけ口に入れ、出発する。

太龍寺への山道
今日の最初の目的地は、標高520mにある21番札所、太龍寺。
「西の高野」とも呼ばれる山寺で、歩き遍路にとっても大きな難所の一つだ。
大井休憩所を出ると、すぐに那賀川に架かる水井橋を渡る。欄干が低いので、歩くときには少し注意が必要だ。
橋を渡ると、すぐに太龍寺への登山道が始まる。
若杉谷川という小さな川に沿って、山の中へ入っていく。
約4kmの登り道を、2時間ほどかけて歩いた。

21番 太龍寺
7時50分、太龍寺に到着。早朝の境内には、参拝客は誰もいなかった。いるのは自分一人だけ。
さっきまで山を覆っていた霧も少しずつ晴れ、木々の間から日差しが差し込んでくる。
山の中に静かに佇む太龍寺。その厳かな雰囲気の中で、ゆっくりと参拝する。
太龍寺は、弘法大師が虚空蔵求聞持法の修行をされたと伝わる寺だ。寺の近くには弘法大師の座像もある。
参拝を終えると、急に空腹を感じてきた。そういえば、もう食料がほとんどない。
地図を確認すると、太龍寺から7kmほど先に「道の駅わじき」がある。食事ができそうな場所は、まずそこしかない。
次の目的地は決まった。


22番札所 平等寺へ
道の駅わじきで食料を補給
太龍寺を後にして、平等寺へ向かう。
標高520mの山から、一気に下っていく。
車道に出ると、中山川沿いを東へ3kmほど歩く。しばらくすると、道の駅わじきが見えてきた。施設には歩道橋が架かっているので、歩き遍路でも見つけやすい。
ここで少し遅い朝食をとり、道中で食べるおにぎりも買った。
ようやく食料を確保できた。
大根峠を越える
道の駅わじきから平等寺までは約4km。遍路道の案内看板を頼りに、大根峠道へ入っていく。
最初は棚田の広がる、のどかな道。
そこから徐々に林道へと変わっていく。
大根峠は標高約300m。太龍寺から平等寺へ向かう歩き遍路にとって、便利な峠道だ。道もよく整備されていて、歩きやすい。
峠を越えると、少しずつ人里が見えてきた。
途中に遍路小屋があったので、ここで休憩する。
木を組み合わせて造られた小屋で、風通しがよく、見た目もなかなかおしゃれだ。
時刻は正午近く。
朝はあれほど濡れていた服も、日差しのおかげですっかり乾いていた。
バックパックを下ろし、しばらく休む。


22番 平等寺
12時30分、平等寺に到着。
平等寺は、山の斜面を利用して建てられたお寺だ。
境内へ向かう階段を上り、さらに本堂へ向かって階段を上る。手すりが付いているので歩きやすい。
一番高い場所にある本堂からは、周囲の町並みを見渡すことができる。山の中を歩いてきた後だけに、開けた景色が気持ちよかった。
参拝を終えて、境内にベンチで少し休憩。道の駅で買っておいたおにぎりを食べる。

23番 薬王寺へ向かう道
次の札所は23番薬王寺。
平等寺から薬王寺までは約20kmある。今から向かっても、今日中に参拝するのは難しい。
それなら、今日はできるだけ先まで進んでおこう。
まずは、南へ約10km。由岐を目指すことにした。
平等寺から由岐へ
平等寺から薬王寺までは約20kmあるが、その間にコンビニはない。
途中の由岐にはスーパーがあるものの、夜には閉まってしまう。食料を必要とする場合は、時間に注意したほうがいい。
宿も数軒あるので、ここで泊まるお遍路さんも多そうだ。
室戸まで96km
歩いていると、遍路道で初めて「室戸」の文字が入った案内看板を見つけた。
室戸まで96km。
まだ96kmもある。
果たして、本当にたどり着けるのだろうか。
四国に入ってまだ6日目。今は目の前の道を歩くことで精一杯だ。
それでも、室戸という名前を目にすると、少しだけ先の旅が現実味を帯びてきた。

初めて見る海
時刻は16時頃。
由岐に到着した。
歩いていると、地元の年配の女性から声をかけられた。
「お遍路さん、由岐は徳島で最初の海の見える町だから、見ていって下さい」
そう教えてもらい、少し歩いてみる。
すると、小さな港が見えてきた。
さらに進むと、浜辺が現れた。
海だ。
磯の香りがする。
波の音が聞こえる。
お遍路を始めて6日目。これまで歩いてきたのは、険しい山道ばかりだった。雨の日もあり、昨日は土砂降りの中で野宿をした。
そんな山間部を抜けた先で、初めて見る海だった。
思っていた以上に感動した。
ここまで歩いてきたんだな、と初めて実感した。
由岐の町では食堂を見つけ、夕食をとった。
この日は、由岐から2kmほど先にある遍路小屋で野宿することにした。



白浜休憩所で野宿
17時。
由岐から歩いて30分ほどで、遍路小屋「白浜休憩所」を見つけた。
海沿いに建つ木造2階建ての小屋で、すぐ近くにはトイレもある。野宿するにはちょうどよさそうな場所だ。
早速2階に上がり、荷物を下ろす。
ようやく今日の歩きが終わった。
荷物を下ろしただけで、少しほっとした。
天気も良く、屋根もあるので、今夜はテントを張らなくてもよさそうだ。ただ、昨夜の雨で濡れてしまったテントは、乾かすために外に干しておく。
小屋の中は4畳ほどの広さで、ベンチが置かれている。ベンチの上に断熱シートを敷き、その上に寝袋を広げる。
今夜はここで過ごす。
海沿いの小屋なので、海に沈んでいく夕日が見える。そして、夜になると波の音だけが響く。
山の中で雨に濡れながら歩いた朝から始まり、太龍寺を越え、平等寺を参拝し、そして今日は初めて海を見た。
その海を眺めながら眠る。
歩き遍路ならではの、自然を満喫できる贅沢な一夜になった。

寺情報
- 21番
- 22番
- 23番






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