四国遍路で宿探しをするときは、宿の総数よりも「どこに宿があるか」が重要です。本記事では歩き遍路で利用しやすい宿422件を調査し、宿の空白地帯や宿確保が難しい区間、県別の宿分布をヒートマップでリスト化し分かりやすくまとめました。
歩き遍路で利用できる宿422件|調査方法と集計結果
調査対象に含めた宿
本記事では、歩き遍路で現実的に利用しやすい宿泊施設を対象に調査しました。宿泊施設の情報はGoogleマップを利用して確認し、2026年時点の情報をもとに集計しています。
対象とした施設は次のとおりです。
- ホテル
- ビジネスホテル
- 旅館
- 民宿
- ゲストハウス
歩き遍路ルートから大きく離れず、実際に徒歩で立ち寄りやすい施設に限定して集計した結果、調査対象となった宿は合計422件でした。
除外した施設
次の施設は調査対象外としています。
- 歩き遍路ルートから大きく離れる宿泊施設
- リゾートホテルなど遍路利用が少ない施設
- 善根宿
- 野宿スポット
また、駅周辺や市街地など宿泊施設が極端に集中するエリアについては、半径2km以内に10件以上の宿が存在する場合、一部を集計対象外としています。
これは総宿数を増やすことが目的ではなく、歩き遍路における宿の分布状況を把握しやすくするためです。特定エリアの宿密集による偏りを抑え、遍路道沿いの宿泊環境が分かりやすくなるよう調整しています。
歩き遍路で宿確保が難しい区間TOP5
1位 43番明石寺〜44番大寶寺|67kmの山岳区間で宿が偏在
43番明石寺から44番大寶寺までは約67km。歩き遍路の中でも、距離・高低差・宿の偏りが重なる難所のひとつです。
大寶寺は久万高原の標高約600mに位置し、さらに後半には標高約800mの峠越えがあります。宿は20km地点の大洲周辺と30km地点の内子周辺に集中しており、それ以外の区間では宿の選択肢が少なくなります。
健脚の方であれば、内子で1泊し、翌日に峠を越えて久万高原へ向かう行程も可能です。久万高原まで到達すると宿の選択肢は増えます。
一方、初心者の場合は大洲と内子周辺で分割すると負担を抑えやすくなります。特に内子中腹で宿泊すると、翌日の峠越えが比較的楽になります。

| 日程 | 健脚ルート | 初心者ルート |
|---|---|---|
| 1日目 | 43番明石寺~内子(30km) | 43番明石寺~大洲(20km) |
| 2日目 | 内子~久万高原(35km) | 大洲~内子中腹(20km) |
| 3日目 | 44番大寶寺~ | 内子中腹~44番大寶寺(25km) |
2位 23番薬王寺〜24番最御崎寺|室戸ルートは宿位置が重要
23番薬王寺から24番最御崎寺までは約76kmあり、歩き遍路の中でも長距離区間のひとつです。健脚であれば3日程度、多くの方は4日前後かけて歩くルートになります。
宿の数だけを見ると十分にあるように見えますが、均等に分布しているわけではありません。前半は比較的宿を見つけやすい一方で、東洋町付近(約40km地点)を過ぎると宿の数は一気に少なくなります。
さらに、東洋町以降はコンビニやスーパーなどの補給場所も限られてきます。野宿を予定している場合は、翌日分も含めて行動食や飲料を準備しておくと安心です。目安としては3食分程度を確保しておくとよいでしょう。
健脚の方であれば東洋町まで進むことで移動効率を上げられます。一方、初心者の場合は海陽町や佐喜浜で区切ると、1日の負担を抑えやすくなります。

| 日程 | 健脚ルート | 初心者ルート |
|---|---|---|
| 1日目 | 23番薬王寺~東洋町(40km) | 23番薬王寺~海陽町(25km) |
| 2日目 | 東洋町~室戸岬(35km) | 海陽町~東洋町(15km) |
| 3日目 | 24番最御崎寺~ | 東洋町~佐喜浜(20km) |
| 4日目 | — | 佐喜浜~24番最御崎寺(15km) |
3位 11番藤井寺〜12番焼山寺|へんろころがし前後
11番藤井寺から12番焼山寺までは約13kmですが、「へんろころがし」と呼ばれる四国遍路屈指の難所として知られています。急な登り下りが続き、高低差も大きいため、歩き遍路では6〜9時間ほどかかることもあります。
さらに焼山寺を過ぎた後も、次の13番大日寺までは約20kmにわたって山道が続きます。距離だけを見ると極端に長い区間ではありませんが、体力の消耗は大きく、宿泊計画が重要になる区間です。
ポイントは、できるだけ11番藤井寺周辺で前泊することです。早朝に出発できれば、焼山寺越えに十分な時間を確保しやすくなります。
初心者の方であれば、焼山寺宿坊を利用して2日に分けるルートがおすすめです。一方、健脚の方であれば、そのまま焼山寺を越えて進むことも可能でしょう。

| 日程 | 健脚ルート | 初心者ルート |
|---|---|---|
| 1日目 | 11番藤井寺~すだち庵・植村旅館(20km) | 11番藤井寺~12番焼山寺・宿坊(13km) |
| 2日目 | すだち庵・植村旅館~13番大日寺(10km) | 12番焼山寺~13番大日寺(20km) |
4位 53番円明寺〜54番延命寺|35km区間は宿の空白地帯に注意
53番円明寺から54番延命寺までは約35kmあり、歩き遍路では1〜2日かかる区間です。大きな山越えはありませんが、距離が長いため、出発時間や宿泊場所を考えながら歩く必要があります。
特に注意したいのは、約10km地点の伊予北条周辺を過ぎると、約30km地点の大西周辺まで宿の選択肢が少なくなる点です。
健脚の方であれば、そのまま54番延命寺まで歩き切ることも可能でしょう。一方、初心者の方や昼以降に53番円明寺を出発する場合は、伊予北条周辺で宿泊すると翌日の負担を軽減できます。

| 日程 | 健脚ルート | 初心者ルート |
|---|---|---|
| 1日目 | 53番円明寺~54番延命寺(35km) | 53番円明寺~伊予北条(10km) |
| 2日目 | — | 伊予北条~54番延命寺(25km) |
5位 65番三角寺〜66番雲辺寺|遍路最高峰ルート
65番三角寺から66番雲辺寺までは約20kmですが、距離以上に体力を消耗しやすい難所として知られています。雲辺寺は四国八十八ヶ所の中で最も標高が高く、標高約900mに位置しています。
距離だけを見ると極端に長い区間ではありませんが、長い登りが続くため、平地の20km以上に感じる方も少なくありません。また、山中には宿がほとんどなく、雲辺寺へ登ると麓へ下山するまで宿泊場所を利用しにくい点にも注意が必要です。
安全に歩くのであれば、三角寺麓の四国中央市街地で前泊し、雲辺寺麓の白地地区で宿泊するルートがおすすめです。無理に一日で進もうとせず、体力に合わせて区間を分ける方が歩きやすくなります。
健脚の方であれば、そのまま雲辺寺に向かうことも可能です。また、体力や状況によっては雲辺寺の通夜堂を利用する方法も選択肢のひとつになるでしょう。

| 日程 | 健脚ルート | 初心者ルート |
|---|---|---|
| 1日目 | 四国中央市~65番三角寺~66番雲辺寺・通夜堂(25km) | 四国中央市~65番三角寺~白地地区(25km) |
| 2日目 | 66番雲辺寺~ | 白地地区~66番雲辺寺(10km) |
四国遍路の宿数を県別に比較
| 県 | 距離 | 宿数 | 1kmあたりの宿数 |
|---|---|---|---|
| 徳島 | 220km | 69 | 0.31 |
| 高知 | 385km | 181 | 0.47 |
| 愛媛 | 360km | 114 | 0.32 |
| 香川 | 150km | 58 | 0.39 |
1kmあたりの宿数で比較すると、高知県が最も多く、徳島県が最も少ない結果となりました。ただし、県全体の平均だけでは実際の歩きやすさは分かりません。
歩き遍路では、市街地や観光地周辺に宿が集中する一方で、山岳地帯や海岸部では20km以上にわたって宿が少ない区間もあります。そのため、「宿数が多い県=宿探しが簡単」とは限らない点に注意が必要です。
以下では、県ごとの宿分布をヒートマップで詳しく見ていきます。
このヒートマップは、歩き遍路ルートの宿分布を札所間ごとに可視化したものです。区間を4kmごとに区切っているため、平均的な歩行速度(時速約4km)では1マスがおよそ徒歩1時間に相当します。色の濃淡を見ることで、宿が多い区間と少ない区間、そして宿の空白地帯をひと目で確認できます。
徳島県の歩き遍路宿マップ|1〜23番札所


徳島県は1番霊山寺から23番薬王寺まで約220kmあり、「発心の道場」と呼ばれるエリアです。市街地を通る区間も多く、全体的に見ると宿は比較的見つけやすいため、歩き遍路を始める初心者にも計画を立てやすい地域といえます。
特に1〜10番札所周辺は寺間距離が短く、宿泊地の選択肢も多いため、歩行距離に合わせて柔軟に日程を組みやすいのが特徴です。
一方で注意したいのが、11番藤井寺から12番焼山寺、さらに13番大日寺方面へ続く「へんろころがし」周辺です。
焼山寺前後は宿の空白地帯が発生しやすく、山道も長く続きます。距離だけでなく高低差による負担も大きいため、歩く前に宿泊計画を決めておくことをおすすめします。
詳しくは記事内の「宿確保が難しい区間ランキング」で解説しています。
歩き遍路で使いやすい宿(徳島編)
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高知県の歩き遍路宿マップ|24〜39番札所


高知県は四国遍路4県の中でも距離が最も長く、24番最御崎寺から39番延光寺まで約385kmあります。そのため、歩き遍路では宿泊計画が特に重要になるエリアです。
室戸ルート(23〜24番)は、歩き遍路でも代表的な長距離区間として知られています。前半は比較的宿を見つけやすいものの、東洋町以降は宿の数が減りやすくなります。詳しくは記事内の「宿確保が難しい区間ランキング」で解説しています。
また、37番金剛福寺(足摺岬)方面は「四国遍路最長クラスの区間で厳しい」といわれますが、ヒートマップを見ると宿は比較的点在しており、宿泊場所そのものに困る場面はそれほど多くありません。
一方で注意したいのは36番青龍寺〜37番岩本寺の区間です。青龍寺から須崎エリアまで宿が少なく、歩き始める時間によっては宿泊場所の選択肢が限られます。初心者であれば、青龍寺近くの宇佐地区で前泊しておくと、翌日の行程を組みやすくなります。
また、38〜39番の三原村ルートも注意したい区間です。土佐清水エリアを過ぎると宿が少なくなるため、宿泊場所を事前に決めてから歩く方が安心です。
歩き遍路で使いやすい宿(高知編)
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愛媛県の歩き遍路宿マップ|40〜65番札所


愛媛県は40番札所から65番札所まで約360kmあり、四国遍路の中でも長距離区間が続くエリアです。山岳札所も多く、宿泊場所だけでなく翌日の歩行距離も考えて計画を立てることが重要になります。
ヒートマップを見ると、松山周辺は宿が多い一方で、南予地域や山間部では宿が少ない区間があることが分かります。
特に注意したいのが40〜43番札所方面です。40番札所から宇和島へ向かうルートでは、津島エリアから宇和島周辺まで宿が限られる区間があります。
初心者であれば、次のような日程が歩きやすいでしょう。
・津島地区で1泊
・宇和島周辺で1泊
・43番札所明石寺に近い卯之町エリアで1泊
また、43番明石寺〜44番大寶寺は宿の空白地帯が長く続く難所です。さらに53〜54番札所周辺にも宿が少ない区間があります。これらの詳細は記事内の「宿確保が難しい区間ランキング」で詳しく解説しています。
歩き遍路で使いやすい宿(愛媛編)
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香川県の歩き遍路宿マップ|66〜88番札所


香川県は高松・丸亀などの主要都市を通るため、全体としては宿探しで困る場面は少ないエリアです。歩き遍路でも宿が密集している区間を通過するため、比較的ルートを組みやすい地域といえます。
ただし、注意したい区間が2つあります。
1つ目は65〜66番の雲辺寺ルートです。雲辺寺は標高が高く、登山区間に入ると宿の選択肢がほとんどありません。この区間についてはランキングパートで詳しく解説しています。
2つ目は、88番札所から1番霊山寺へ向かう「お礼参りルート」です。
お礼参りをする場合は、88番札所手前の長尾エリアで前泊するルートがおすすめです。
長尾で1泊 → 88番札所周辺で1泊 → 1番霊山寺
ただし、88番札所周辺の宿は歩き遍路シーズンになると予約が埋まりやすくなります。特に春や秋は混雑しやすいため、事前予約がおすすめです。
私も実際に予約が取れず、公園で野宿したことがあります。最終盤だからと油断しない方がいい区間です。
歩き遍路で使いやすい宿(香川編)
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よくあるFAQ
- Q歩き遍路では宿を事前予約した方がいいですか?
- A
春(3〜5月)や秋(10〜11月)の歩き遍路シーズンは、宿が埋まりやすいため事前予約がおすすめです。特に室戸エリア、焼山寺周辺、雲辺寺周辺、88番札所周辺は選択肢が少ないため、数日前までに予約しておく方が安心です。
- Q歩き遍路では1日に何km歩く人が多いですか?
- A
初心者は15〜20km程度、慣れている方は25〜35km程度が一般的です。健脚の方では40km以上歩くケースもありますが、山岳区間では同じ距離でも負担が大きく変わります。距離だけでなく高低差も考えて宿を決めることが大切です。
- Q歩き遍路の宿泊費はどのくらいかかりますか?
- A
民宿・ゲストハウスでは5,000〜8,000円程度、旅館やホテルでは7,000〜12,000円程度が目安です。宿坊は食事付きかどうかで差があります。長期間歩く場合は、都市部のビジネスホテルを活用すると費用を抑えやすくなります。
- Q歩き遍路では野宿だけで回れますか?
- A
野宿だけで歩くことは不可能ではありませんが、現実的にはおすすめしません。山間部では水や食料の確保が難しく、悪天候時は休める場所も限られます。
- Q宿坊と普通の宿はどちらがおすすめですか?
- A
歩き遍路が初めてなら、基本は一般宿がおすすめです。宿坊は寺院で宿泊できる貴重な体験ですが、利用日や食事時間などに制限がある場合があります。一方で焼山寺など、一部の難所では宿坊が歩行計画を立てやすくしてくれることもあります。
- Q歩き遍路で最も宿探しが難しい区間はどこですか?
- A
今回調査した中では、43番明石寺〜44番大寶寺、23番薬王寺〜24番最御崎寺、11番藤井寺〜12番焼山寺周辺が特に注意が必要でした。宿数そのものよりも、宿が偏っている区間が歩き遍路では難しくなります。
まとめ|歩き遍路では「宿数」より「宿の位置」が重要
歩き遍路では「宿が多い県か少ない県か」よりも、「必要な地点に宿があるか」の方が実際の歩きやすさに大きく影響します。
今回422件の宿を調査した結果、四国全体では宿が極端に少ないわけではありませんでした。ただし、43〜44番の山岳区間、23〜24番の室戸ルート、焼山寺前後、雲辺寺など、一部には20km以上宿が少ない区間が存在します。
特に初心者は「次の札所まで行けるか」ではなく、「今日どこで確実に泊まれるか」を基準に行程を組む方が失敗しにくくなります。無理に距離を伸ばすより、宿のある場所で区切った方が翌日の負担も軽くなります。
ヒートマップを活用すれば、宿の空白地帯や宿が集中するエリアを事前に把握できます。歩き遍路を計画するときは、ぜひ宿の数だけでなく、宿の位置にも注目してルートを組んでみてください。
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