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歩き遍路18日目

歩き遍路 18日目 歩き遍路の記録

歩き遍路18日目は、ドライブイン水車を出発し、真念庵、下ノ加江、大岐海岸、以布利を経て、38番金剛福寺を目指した。海岸沿いの遍路道を歩き、約30kmを経て足摺岬に到着。金剛福寺を参拝した後は、約10kmを歩いて以布利まで戻り、じんべえ広場で野宿した。

行程表

8月12日 はれ
  • 6:00
    出発
    1. ドライブイン水車
    2. 真念庵
    3. 下ノ加江
    4. 大岐海岸
    5. 以布利
    6. 足摺岬
  • 13:30
    38番 金剛福寺
  • 18:30
    以布利

    野宿

歩き遍路 18日目

朝の準備

8月12日、晴れ。歩き遍路18日目。

前日は土佐佐賀温泉を出発し、四万十市を越えた先にあるドライブイン水車まで歩いた。40km以上を歩いたので、疲労がないと言えば嘘になる。

山に囲まれたこの場所では、夜が明けると鳥の鳴き声が響き、気持ちの良い朝を迎えることができた。軽く体操をすると、ガチガチに固まっていた背中や足腰が少しずつほぐれていった。

ここから38番金剛福寺までは約30km。いよいよ射程圏内に入った。

疲れた体を奮い立たせ、6時過ぎに出発した。

真念庵へ

先を急ぎたいところだが、ドライブイン水車の近くには、お遍路にとって重要な場所がある。

真念庵だ。

真念庵は、四万十市から土佐清水方面へ向かう遍路道沿いにある、真念ゆかりの庵。真念は江戸時代に四国遍路の普及に尽力した僧で、遍路道や札所をまとめた案内書『四国遍路道指南』を著したことで知られている。

この案内書は、当時のお遍路さんにとって貴重な道しるべとなり、現在の四国遍路の発展にも大きく貢献した。

林の中にひっそりと佇む真念庵を前に手を合わせ、ここまで無事に歩いてこられたこと、そしてこれから先も無事に歩き続けられることを祈った。

下ノ加江へ

ドライブイン水車を出ると、下ノ加江川に沿って緩やかな下り坂が続く。

5kmほど歩くと、海沿いの下ノ加江の町に出た。

この辺りでは貴重なコンビニがあるので、朝食と昼食を調達しておく。ここから先は足摺岬に向けて長い道のりが続くため、食料を確保しておくことにした。

ただし、下ノ加江ではルートに注意が必要だ。

ここは38番金剛福寺へ向かう道であると同時に、39番延光寺へ向かうルートでもある。いわゆる「打戻り」のルートで、周辺には延光寺を示す道しるべも立っている。

道しるべを間違えると大変なので、方角を確認しながら進みたい。

下ノ加江から大岐海岸へ

下ノ加江を過ぎると、しばらく海岸線の道が続く。

室戸でも海岸線を歩いたが、こちらは断崖が多く、室戸とはまた違った迫力がある。太平洋を眺めながら歩く一方で、険しい地形が続くため、少しずつ足に疲労がたまっていく。

下ノ加江からさらに5kmほど歩くと、大岐海岸に到着する。

大岐海岸はサーフィンができる海岸として有名で、高台にある休憩所からは、波を待つサーファーの姿がたくさん見えた。

周辺にはサーファー向けの宿泊施設も点在している。お遍路さんにとっても、宿泊地として利用しやすいエリアだ。

大岐海岸

大岐海岸から足摺岬へ

大岐海岸を過ぎると、足摺岬へ向かうルートは2つに分かれる。

国道321号線をそのまま進めば、土佐清水市街地へ出る。宿泊施設や飲食店も多く、遅い時間になった場合には宿を探しやすいルートだ。

もう一つは、海岸沿いを進む県道ルート。

38番金剛福寺を最短で目指すなら、こちらの方が便利だ。私は距離を優先し、海岸沿いの県道ルートを選んだ。

道中の案内板に従って進むと、古くからの遍路道を歩くこともできる。

以布利港周辺の海岸や竹林の道は、アスファルトよりも足への負担が少なく、歩き遍路にはおすすめのルートだ。

以布利港から金剛福寺までは約10km。

「あと一息」と思うが、ここからがなかなか長い。

足摺岬に近づくにつれて断崖は険しくなり、小さなアップダウンが繰り返される。大きな坂ではないものの、疲れた足にはこの細かな上り下りが地味にきつい。

「弘法大師は、こんなところまで歩いたのか」

険しい遍路道を歩きながら、改めて弘法大師の成し遂げた偉大さを認識した。

以布利港から2時間ほど歩くと、周囲の植物も少しずつ変わってきた。

アコウやビロウなど、南国らしい植物が目立つようになる。

足摺岬はもうすぐだ。

そう思うと、少し気持ちも軽くなった。

38番金剛福寺に到着

時刻は13時過ぎ。

ついに38番金剛福寺に到着した。

お盆の連休シーズンということもあり、足摺岬周辺は観光客で賑わっている。周辺には土産店もあり、軽食を取れる店もあるので、休憩を兼ねて立ち寄るのもいいだろう。

金剛福寺は、弘法大師が足摺岬を観音菩薩の浄土「補陀洛」に見立てて開いたと伝わる寺院だ。

境内には池や巨石、美しく手入れされた庭園が広がっている。これまで歩いてきた札所の中でも、特に見応えのある境内だった。

バックパックを下ろし、休憩も兼ねて境内をゆっくり散策した。

38番金剛福寺
38番金剛福寺

足摺岬の見どころ

金剛福寺を参拝したら、足摺岬周辺もぜひ散策したい。

徒歩で回れる範囲に見どころが点在しており、お遍路とあわせて観光も楽しめる。

足摺岬

ジョン万次郎像

土佐清水市ゆかりの偉人、ジョン万次郎の銅像。

漂流後にアメリカへ渡り、帰国後は通訳や教育などを通じて、日本の近代化にも大きな影響を与えた人物として知られている。

ジョン万次郎像

足摺七不思議

足摺岬には、弘法大師にまつわる「足摺七不思議」が点在している。

亀石をはじめ、弘法大師の伝説が残る史跡が各所にあり、足摺岬の景色を楽しみながら、遍路の歴史や信仰にも触れることができる。

足摺七不思議の1つ亀石

足摺岬灯台

足摺岬の先端に立つ白亜の灯台。

展望台からは太平洋を一望でき、四国最南端らしい雄大な景色が広がる。

足摺岬灯台

以布利まで戻る

金剛福寺への参拝と足摺岬周辺の散策を終えると、時刻は14時30分。

そろそろ出発して、今日の宿泊地を決めなければならない。

冒頭でも触れたように、次の札所である39番延光寺までは約53kmある。一般的には、ここから約25km離れた下ノ加江まで打ち戻るルートを歩くことになる。

私は、道中で通った以布利港に大きな東屋のある公園があることを思い出した。

足摺岬から約10km。まだ歩かなければならないが、今日はそこを目指すことにした。

一度歩いた道は、初めて歩いたときよりも短く感じた。

道中には金剛福寺を示す道しるべと、延光寺を示す道しるべが混在している。今度は逆方向に歩いているので、道を間違えないよう、標識を一つひとつ確認しながら進んだ。

じんべえ広場で野宿 お遍路さんとの再会

18時30分、薄暗くなり始めた頃、無事に以布利の公園へ到着した。

「じんべえ広場」という場所で、東屋がとても大きい。トイレもあり、歩き遍路が野宿する場所としても利用しやすそうだった。

東屋には、すでに2人のお遍路さんがいた。

そのうちの一人を見て驚いた。

先日、土佐佐賀温泉で一緒になった青年だった。

「また会いましたね」

こんな場所で再会するとは思わなかった。こうした偶然の再会にも、弘法大師のご縁を感じる。

青年は、ふらふらになって到着した私を見ると、

「まさか、金剛福寺を参拝してきたんですか?」

と驚いた表情で尋ねてきた。

「ええ」

と答える。

もう一人のお遍路さんは、逆打ちをしている方だった。

逆打ちのお遍路さんは、これから歩く道の最新情報を知っているため、とても貴重な存在だ。

高知と愛媛の県境へ向かう山道は、先日の台風の影響でかなり荒れているらしい。倒木もあるものの、歩けないほどではないとのことだった。

これから先の貴重な情報を教えてもらい、お互いにこれまで歩いてきた道の情報を交換した。

そして、話が盛り上がったのは、やはりお遍路さん同士の出会いについてだった。

道中で若い女性2人組のお遍路さんを見かけたという話になると、「俺も見た」と話が弾んだ。

どんな状況でも男が盛り上がる話題といったら、こんなものだ。

20時を過ぎると、辺りはすっかり暗くなった。

そろそろ眠る時間だ。

おそらく、この青年と会うのは今日が最後になるだろう。

お互い、なんとなくそう感じていた。

「お元気で」

そう言葉を交わし、納め札を交換した。

それぞれが自分のテントへ戻っていく。

疲労はかなりあったが、無事に一日を終えられたことに満足しながら、テントの中で眠りについた。

寺情報

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