歩き遍路7日目は、白浜休憩所を出発し、徳島県最後の札所・23番薬王寺を参拝。その後、牟岐や別格4番鯖大師、海陽町を経て、宍喰まで約35kmを歩いた。足の痛みと闘いながらも、室戸までの距離が96kmから49kmに縮まったことに、少しずつ前進している実感が湧いた一日だった。
行程表
- 6:00出発
- 白浜休憩所
- 8:0023番 薬王寺
- 道の駅 ひわさ
- 牟岐
- 別格 鯖大師
- 海陽町
- 18:00宍喰
野宿

海辺の白浜休憩所を出発
5月1日、朝5時に起床。海辺にある白浜休憩所で一晩を過ごした。
春とはいえ、夜は冷え込む。断熱シートと寝袋のおかげで、快適に眠ることができた。一昨日の雨で濡れたテントも、すっかり乾いたようだ。
身支度を済ませ、6時に休憩所を出発する。
ちょうど海から太陽が昇り始めた。朝日を浴びて、海と空が金色に染まっていく。こうした美しい景色を眺められるのも、野宿ならではの醍醐味だろう。
贅沢な朝の景色を楽しみながら、一人、歩き始めた。

23番薬王寺から室戸岬までは約75km
今日の最初の目的地は、23番薬王寺だ。
問題は、その先にある24番最御崎寺までの距離。最御崎寺は室戸岬の先端にあり、薬王寺から約75kmも離れている。
さらに、道中は景色の変化が少ない海岸線が長く続くという。体力だけでなく、精神的にも厳しい区間になりそうだ。
これまでの人生で、75km先を目指して歩いた経験はない。まさに未知の領域だ。
それでも、焼山寺や鶴林寺といった難所を越えてきたことで、少しずつ自信もついてきた。まずは目の前の薬王寺を目指そう。そう思いながら歩を進めた。
海岸沿いの道を通って薬王寺へ
薬王寺へ向かうルートは、大きく分けて2つある。北側の国道55号線を通るルートと、海岸沿いを歩くルートだ。
私は海岸沿いの道を選んだ。景色は良いものの、小さな上り下りが何度も続き、思った以上に体力を消耗する道だった。
1時間ほど歩くと、白波が立つ大きな海岸が見えてきた。薬王寺のある日和佐も近い。
日和佐は、アカウミガメの産卵地としても知られている。目の前に広がるこの海岸も、その産卵地なのだろうか。

8時 徳島県最後の札所・23番薬王寺に到着
午前8時、23番薬王寺に到着した。
薬王寺は、弘法大師が厄除けの薬師如来を刻んだと伝わる「厄除けの寺」として知られている。
境内には「厄坂」と呼ばれる階段があり、一段ずつ上っていく。最上部からは日和佐の町並みを一望でき、印象に残るお寺だった。
本堂の薬師如来には、次の札所である最御崎寺まで、足が無事に歩き続けられるよう祈った。

薬師如来の真言に感じた成長
薬師如来のご真言を唱えていると、ふと気づいた。 「あれ、これ前にも唱えたな」
「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」は、印象に残りやすい真言だ。実は、薬師如来を本尊とする寺院は、四国八十八ヶ所の中で最も多く、全部で24ヶ所もある。なかでも徳島県には7ヶ所あり、特に多い。
最初はたどたどしく、意味もよく分からないまま唱えていたお経も、少しずつスムーズに唱えられるようになってきた。自分の成長を感じた瞬間だった。
日和佐で小休憩
薬王寺のある日和佐には、道の駅やコンビニもあり、歩き遍路にとって貴重な休憩・補給地点だ。私もコンビニに立ち寄り、行動食を買っておいた。
日和佐から牟岐へ約15km
日和佐から次の町、牟岐までは約15km。国道55号線を進むため、道に迷う心配は少ない。
この区間は海岸から離れ、山間部を歩く。途中にある日和佐トンネルは約1kmも続く長いトンネルだ。
トンネル内では、車が通るたびに風圧を受ける。菅笠が飛ばされそうになったため、顎を引いて歩き、なんとかしのいだ。
正午ごろ、牟岐に到着した。牟岐には宿やコンビニがあり、休憩や宿泊にも便利な町だ。
ここから約4km進むと、別格霊場4番の鯖大師がある。私が訪れた頃は宿坊があり、この区間では貴重な宿泊場所だった。ただし、現在は営業していないようなので、利用を考えている場合は事前の確認が必要だ。
宇宙船のような遍路小屋「NASA遍路小屋」
牟岐からさらに2時間ほど歩くと、足の痛みが強くなってきた。
それでも、明るいうちはできるだけ先へ進みたい。そんな気持ちで歩き続ける。
14時過ぎ、海陽町を通過した。ここで印象に残ったのが、少し変わった形の遍路小屋だ。
丸く細長い屋根が特徴で、まるで宇宙船のような外観。その名も「NASA遍路小屋」。
ベンチは縦に長く、3〜4人なら余裕を持って休めそうな広さがある。ここで野宿するお遍路さんも多いそうだ。
18時 宍喰に到着
次の目的地、宍喰までは約6km。日の入りまでにはまだ時間があるが、気になるのは足の痛みだった。
宍喰には道の駅や日帰り温泉施設、遍路小屋があり、歩き遍路にとって便利な場所だ。温泉に入れば、疲れた体も少しは回復するだろう。
ここまで来たら、もう少し頑張って宍喰まで進もう。
薬王寺の手前から歩き始めて、すでに約35km。17時を過ぎ、辺りも少しずつ暗くなってきた。足の痛みも疲労も限界に近い。
少しでも足への衝撃を和らげようと、金剛杖を左右で持ち替えたり、かかとから着地するようにしたりと、歩きながら試行錯誤を続けた。
道中で見かけた「室戸まで49km」の看板。昨日は96kmだったことを思うと、かなり歩いてきたことを実感する。
18時ごろ、なんとか宍喰に到着。日が完全に暮れる前に着くことができ、ほっとした。


宍喰温泉で疲れを癒やし、野宿
宍喰温泉は、宮殿のような立派な外観の建物だ。さっそく日帰り温泉に入り、疲れた体を休めることにした。
足の裏は真っ赤になり、熱を持っている。触れるだけでも痛みがあったため、桶に水を汲み、数分間足を冷やした。
食事は近くの食堂でカツ丼を注文。一日中歩いたので、いつもより多めにカロリーを補給しておく。
この日の寝床は、道の駅の裏にある公園。ここにテントを設営し、野宿することにした。
徳島県最後の札所・薬王寺を参拝し、牟岐、鯖大師、海陽町を経て宍喰まで歩いた一日。約35kmの道のりは、足の痛みとの闘いでもあった。
翌日はいよいよ高知県へ。室戸岬に向かう長い道のりはまだ続く。







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