歩き遍路19日目は、以布利を出発し、下ノ加江、三原村を経て39番延光寺へ向かいました。38番金剛福寺から延光寺までは約50kmの長距離区間。途中、山間の細い道を歩きながら三原村、平田を通り、16時過ぎに高知県最後の札所・延光寺に到着しました。参拝後は宿毛方面へ進み、あるね屋で野宿しました。
行程表
- 5:30出発
- 以布利
- 大岐海岸
- 下ノ加江
- 芳井休憩所
- 三原村
- 平田
- 16:1539番 延光寺
- 18:30宿毛 あるね屋
野宿

朝の準備
8月13日、晴れ。歩き遍路19日目の朝。
前日は真念庵を経て38番金剛福寺まで歩き、足摺岬を散策した後、以布利まで戻って野宿した。
東屋で一緒になった他のお遍路さんは、まだ眠っている。
今日の目的地は39番延光寺。
延光寺は高知県最後の札所でもある。ここを打ち終えれば、いよいよ愛媛県へ入る。
起こさないように静かに身支度を整え、5時30分、出発した。

39番延光寺へ向かう2つのルート
38番金剛福寺から39番延光寺までは、主に2つのルートがある。
一つ目は、三原村を経由するルート。足摺岬から来た道を下ノ加江方面まで戻り、そこから北上して延光寺を目指す、いわゆる「打戻り」ルートだ。
このルートの最大の特徴は、距離が短いこと。
もう一つは「月山ルート」。足摺岬からそのまま海岸線をぐるりと回り、月山神社を経由して延光寺を目指すルートだ。月山神社に参拝できる一方、三原村ルートよりも距離は長くなる。
私は2回、歩き遍路を経験したので、どちらのルートも歩いたことがある。
初めてのお遍路では三原村ルートを選んだ。
初めて歩くのであれば、私は三原村ルートをおすすめしたい。距離が短いため、月山ルートよりも難易度は低めだと思う。
早朝の道を下ノ加江へ
早朝の遍路道は、日中に比べて気温が低く、かなり歩きやすい。
夏に歩き遍路をする場合、早朝の涼しい時間帯にどれだけ距離を稼げるかが重要になる。昼間の暑い時間帯は無理をせず、こまめに休憩を取ったほうがいい。
昨日歩いた道を逆方向に戻っていく。
見覚えのある景色なのだが、昨日とはまた違った印象を受ける。
「逆打ちも面白そうだな」
そんなことを考えながら歩いていた。
8時過ぎ、下ノ加江に到着。
ここから県道21号線を北へ進めば、延光寺へ通じる。
下ノ加江にはコンビニがあるので、朝食と昼食を調達しておいた。金剛福寺へ向かうときにも利用したコンビニで、歩き遍路にとっては特にありがたい存在だ。
下ノ加江から三原村へ
下ノ加江から三原村までは、下ノ加江川に沿った県道を約15km歩く。
谷間を縫うように続く道で、林の中には車1台が通れるほどの細い区間もある。
この先には店がほとんどないので、食料や飲み物は下ノ加江で準備しておいたほうがいい。
下ノ加江川の上流へ向かって、道は緩やかに上っていく。
急な坂ではないものの、延々と続く上り坂が少しずつ体力を奪っていく。
思うようにペースが上がらない。
「今日中に延光寺へたどり着けるだろうか」
少し不安になってきた。

芳井休憩所
下ノ加江から2時間ほど歩いたところで、芳井休憩所を見つけた。
たまらず休憩する。
休憩所にはお接待の飲み物も置かれていて、炎天下を歩くお遍路にとっては本当にありがたい。冷たい飲み物で水分を補給し、地図を広げて残りの距離を確認する。
延光寺まで約20km。
時刻は11時30分。
納経所が開いている17時まで、あと5時間ほどしかない。
「これは、のんびり休憩している場合じゃないな」
ここからは、できるだけペースを落とさず進むことにした。

三原村を抜けて平田へ
休憩所からさらに2時間ほど歩くと、周囲の景色が変わってきた。
森林が続いていた道が開け、田園風景が広がる。
三原村に入ったようだ。
三原村にはスーパーがあり、この区間では貴重な休憩・買い物スポットになる。民宿もあるため、この周辺で宿泊するお遍路さんも多いのではないだろうか。
三原村から延光寺までは約10km。
時刻は14時。
このペースなら、納経時間には間に合いそうだ。
ただ、まだ油断はできない。
三原村を抜けると、再び景色は森林へと変わっていった。
この辺りは歩道が狭い区間もあるので、車には注意が必要だ。
道中にはダム湖に架かる橋もあり、橋の上からダムを眺めることができた。山の中に突然現れる大きな人工物は迫力があり、印象に残る景色だった。
ダムを過ぎると、曲がりくねった山道を下っていく。
しばらくすると、突然視界が開け、民家が見えてきた。
延光寺手前の平田地区だ。
平田から39番延光寺へ
平田は延光寺から約2kmの場所にあり、飲食店やコンビニもある便利な町だ。宿泊施設もあるため、延光寺の納経時間に間に合わなかった場合は、ここで一泊するのもいいだろう。
時刻は16時前。
ここまで約20kmをほとんど休まず歩いてきたため、正直かなり疲れていた。
それでも、延光寺の納経時間には間に合いそうだ。
そう確信すると、少しだけペースを落として最後の道を歩いた。
平田から延光寺へは、鉄道の高架をくぐり、T字路を左へ曲がる。
そこから国道56号線へ入る。
岩本寺の前後で何度も歩いた国道56号線との、久しぶりの再会だ。
しばらく歩くと、右手に延光寺を示す案内板が見えてくる。
案内に従って進むと、ついに山門が見えてきた。
39番延光寺に到着
16時過ぎ、39番延光寺に到着。
高知県最後の札所だ。
室戸から始まった長い遍路道を思い出し、感慨に浸った。
延光寺は、赤い亀が梵鐘を背負って現れたという伝説で知られている。また、厄除けや安産の祈願寺としても親しまれているそうだ。
御朱印にも亀の印が入っているのが特徴的だ。
道中では、白装束に鶴と亀の判衣を押しているお遍路さんを何人か見かけた。
「鶴」は20番鶴林寺のことだと分かっていたが、「亀はどこなのだろう」と以前から疑問に思っていた。
ここで、その疑問も解決した。
鶴林寺の「鶴」と、延光寺の「亀」。
長い遍路道を歩いてきたからこそ、こうした札所のつながりも面白く感じる。
参拝を終えると、これまで張り詰めていた気持ちが一気に緩んだ。
その瞬間、約5時間歩き続けた疲労が一気に押し寄せてきた。
境内のベンチに座り、しばらく長めの休憩を取った。


宿毛へ向かう
さて、今日はどこで泊まろうか。
宿泊地はまだ決めていなかった。
延光寺から西へ約8km進んだところに宿毛がある。この地域では比較的大きな町なので、宿泊施設や飲食店にも困らないだろう。
今日は目標だった延光寺を無事に参拝できたことで、少し燃え尽きたような気分になっていた。
そこで、無理をせず宿毛方面へ歩きながら、野宿できそうな場所があれば、そこで一泊することにした。
17時、延光寺を出発。
しばらく歩くと、国道56号線沿いの直売所「あるね屋」で、お遍路休憩所の看板を見つけた。
敷地内には東屋がある。
直売所の方に野宿の許可をお願いすると、快く了承していただいた。
今日の宿泊地が決まった。
直売所では、夕食と翌朝の朝食用の弁当も購入した。
正直、かなり疲れていた。
延光寺の近くで野宿できる場所が見つかり、本当に助かった。
※現在は、このお遍路休憩所はなくなっているようだ。
高知県を歩き終えて
高知県最後の札所、39番延光寺を打ち終えた。
明日からはいよいよ愛媛県へ入る。
ここまで歩いてきた高知県も、室戸岬から足摺岬まで長い道のりだった。
そして、愛媛県も高知県に負けないほどの長距離区間が続くと聞いている。
これから先、どんな遍路道が待っているのだろう。
テントを張り終え、今日一日を振り返りながら、愛媛県へ向かう明日の道に思いを馳せた。





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