四国八十八ヶ所には、さまざまな仏さまが御本尊として祀られています。その中でも観音菩薩は、苦しんでいる人々を救う仏さまとして、古くから広く信仰されてきました。
聖観音(しょうかんのん)は、数多くある観音菩薩の姿の中でも基本となる観音さまです。人々の苦しみや悩みに耳を傾け、さまざまな姿で現れて人々を救う仏さまとして信仰されています。
四国八十八ヶ所では、第69番観音寺、第83番一宮寺、第85番八栗寺、第87番長尾寺で聖観世音菩薩が御本尊として祀られています。また、第37番岩本寺では、五尊の御本尊の一つとして観世音菩薩が祀られています。そのため、聖観音を御本尊とする札所を数える場合には、岩本寺を含めて5ヶ所となります。
この記事では、聖観音とはどのような仏さまなのか、その姿や観音菩薩との関係、御利益や御真言、そして聖観音を御本尊とする四国八十八ヶ所の5ヶ所の札所について、わかりやすく紹介します。
聖観音とは?
聖観音は、観音菩薩の基本となる姿を表した仏さまです。
観音菩薩は、正式には観世音菩薩や観自在菩薩と呼ばれます。
「観音」という名前には、人々の声や苦しみを観じ、救うという意味が込められています。
仏教では、観音菩薩は人々が苦しんでいるとき、その声を聞いて救いの手を差し伸べる仏さまとして信仰されてきました。
観音菩薩には、千手観音、十一面観音、馬頭観音など、さまざまな姿があります。
その中で、特別な姿に変化することなく、基本的な姿で表された観音菩薩が聖観音です。
聖観音はどんな姿をしている?
聖観音は、一般的に穏やかな表情をした菩薩の姿で表されます。
如来とは異なり、冠や首飾りなどの装飾品を身につけていることが多く、優美な姿をしています。
手には**蓮華(れんげ)**を持っている姿がよく見られます。
蓮華は、泥の中から美しい花を咲かせることから、仏教では清らかな心や悟りを象徴するものとされています。
聖観音の姿は、力強さよりも、慈悲や優しさを感じさせる姿として表現されることが多いのが特徴です。
苦しみや悩みから救われる / 災難や困難から身を守る / 家内安全 / 無病息災 / 安産・子どもの成長 / 良縁 / 心の安らぎ
御影
おん あろりきゃ そわか
聖観音と観音菩薩の関係
聖観音は、観音菩薩そのものを指す場合もあり、観音菩薩のさまざまな姿の中の一つとして扱われる場合もあります。
観音菩薩には、人々を救うためにさまざまな姿に変化して現れるという信仰があります。
たとえば、千の手を持つ千手観音、十一の顔を持つ十一面観音、馬の頭を持つ馬頭観音などがあります。
これらは、それぞれ異なる姿をしていますが、苦しんでいる人々を救うという観音菩薩の慈悲を表しています。
その中でも聖観音は、観音菩薩の基本的な姿として位置づけられています。
聖観音の御利益
聖観音は、苦しみや悩みを抱える人々を救う仏さまとして信仰されています。
代表的な御利益として、次のようなものがあります。
- 苦しみや悩みから救われる
- 災難や困難から身を守る
- 家内安全
- 無病息災
- 安産・子どもの成長
- 良縁
- 心の安らぎ
観音菩薩は、特定の願いだけをかなえる仏さまというよりも、人々が抱えるさまざまな苦しみに寄り添い、救いへ導く仏さまとして広く信仰されています。
聖観音は何を救う仏さま?
聖観音は、特定の人だけを救う仏さまではなく、苦しみや悩みを抱えるすべての人々を救う仏さまとして信仰されています。
観音菩薩は、人々の声を聞き、その人に合った姿で現れて救うとされています。
そのため、病気や災難などの具体的な苦しみだけでなく、人生の迷いや不安、心の苦しみなども含めて、幅広い救いをもたらす仏さまと考えられています。
聖観音を御本尊とする四国八十八ヶ所の札所
四国八十八ヶ所の中で、聖観音を御本尊とする札所は5ヶ所あります。
第37番札所 岩本寺
第37番札所の岩本寺は、四国八十八ヶ所の中でも特徴的な札所です。
岩本寺には、不動明王・観世音菩薩・阿弥陀如来・薬師如来・地蔵菩薩の五尊が御本尊として祀られています。
このうち、観世音菩薩が聖観音にあたります。
寺伝によると、弘法大師が岩本寺を訪れた際、仁井田明神の御神体を五つの社に分け、それぞれに不動明王、観音菩薩、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩を本地仏として安置したと伝えられています。
現在の岩本寺では、この五尊が一つの札所に祀られています。

第69番札所 観音寺
寺伝によると、弘法大師がこの地を訪れた際、琴弾八幡宮の本地仏として阿弥陀如来を祀り、さらに中金堂に聖観世音菩薩像を彫造して安置したと伝えられています。
その後、七宝を埋めて地鎮を行ったことから寺名を「七宝山・観音寺」と改めたとされています。
観音寺は第68番札所の神恵院と同じ境内にあり、一つの境内に二つの札所があることでも知られています。

第83番札所 一宮寺
寺伝によると、弘法大師がこの地を訪れた際、約106cmの聖観音を自ら彫造し、伽藍を再興したと伝えられています。
このとき真言宗に改宗され、現在まで続く一宮寺の歴史につながったとされています。
一宮寺には「地獄の釜」と呼ばれる祠もあり、寺院を訪れた際の見どころの一つとなっています。

第85番札所 八栗寺
八栗寺は五剣山の山中にある札所で、寺伝によると弘法大師が五剣山に登ったことから、その歴史が始まります。
その後、江戸時代に高松藩主松平頼重によって本堂が再興され、弘法大師作と伝えられる聖観自在菩薩を本尊として安置したとされています。
八栗寺は、五剣山の景観とともに、山の霊場としての雰囲気を感じられる札所です。

第87番札所 長尾寺
寺伝によると、行基菩薩がこの地を訪れた際、霊夢を感じた楊柳の木を使って聖観音菩薩像を彫造し、本尊として祀ったことが始まりとされています。
その後、弘法大師も長尾寺を訪れ、入唐が成功するよう祈願したと伝えられています。
長尾寺は「長尾の観音さん」として地域の人々から親しまれており、境内には本堂のほか、静御前にまつわる史跡などもあります。

聖観音を祀る5ヶ所の札所まとめ
四国八十八ヶ所では、聖観音を御本尊として祀る札所が5ヶ所あります。
第37番岩本寺、第69番観音寺、第83番一宮寺、第85番八栗寺、第87番長尾寺です。
このうち岩本寺は五尊の御本尊の一つとして観世音菩薩を祀っているため、他の4ヶ所とは少し位置づけが異なります。
また、第69番観音寺、第83番一宮寺、第85番八栗寺、第87番長尾寺では、それぞれ聖観世音菩薩、聖観自在菩薩などの名称で祀られています。
同じ聖観音を御本尊とする札所でも、それぞれに異なる歴史や伝説があります。お遍路で訪れる際には、御本尊だけでなく、各寺院に伝わる由来や見どころにも注目してみると、より深く四国八十八ヶ所を楽しむことができます。








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