四国八十八ヶ所を巡っていると、さまざまな仏様に出会います。
その中でも、ひときわ力強い姿をしているのが**不動明王(ふどうみょうおう)**です。
怒りの表情を浮かべ、右手に剣、左手に羂索(けんさく)を持つ不動明王。
一見すると怖い仏様にも見えますが、不動明王は、迷いや煩悩を断ち切り、人々を正しい道へ導く仏様として信仰されています。
四国八十八ヶ所では、不動明王を御本尊とする札所が4ヶ所あります。
- 第36番 青龍寺
- 第37番 岩本寺
- 第45番 岩屋寺
- 第54番 延命寺
この記事では、不動明王がどのような仏様なのか、仏像の特徴、御真言、そして四国八十八ヶ所で不動明王をお参りできる札所について紹介します。
不動明王とは?
不動明王は、密教で重要な役割を持つ明王の一尊です。
「不動」という名前には、仏道を求める心が揺るがないという意味が込められています。
不動明王は、大日如来の教えを受け、人々を迷いから救うために厳しい姿を現しているとされます。
そのため、怒りの表情をした姿で表されることが多くあります。
しかし、その怒りは人を傷つけるためのものではありません。
仏道から外れてしまう心や、さまざまな煩悩を断ち切り、正しい方向へ導くための慈悲の表れとも考えられています。
不動明王はどんな姿をしている?
不動明王の仏像には、特徴的な姿があります。
右手には、煩悩や迷いを断ち切るとされる利剣を持っています。単なる武器ではなく、迷いや悪い心を断ち切る智慧の象徴とされています。
左手には**羂索(けんさく)**という縄を持っています。この縄によって、仏道から離れてしまう人を引き戻すとされています。
不動明王といえば、厳しい表情が印象的です。これは「忿怒の相」と呼ばれ、仏の教えに従わないものを力強く導く姿を表しています。怖い顔をしていますが、その根底には人々を救おうとする慈悲があります。
不動明王の背後には、燃え盛る炎が表現されることがあります。これは**迦楼羅炎(かるらえん)**などと呼ばれるもので、煩悩を焼き尽くす力を表しています。
迷いを断ち切る / 悪い習慣の改め / 心を強く持つ / 災いを除く / 願いの成就
御影
のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うん たらた かんまん
不動明王は何の仏様?
不動明王は、迷いや煩悩を断ち切り、仏道へ導いてくれる仏様として信仰されています。
そのため、
- 迷いを断ち切りたい
- 悪い習慣を改めたい
- 心を強く持ちたい
- 災いを除きたい
- 願いを成就したい
といった願いと結びつけて信仰されてきました。
また、不動明王は護摩祈祷とも深い関係があります。
炎の中に護摩木をくべながら祈願する護摩修法は、不動明王の信仰と結びついて広く行われています。
四国八十八ヶ所で不動明王を御本尊とする札所
四国八十八ヶ所では、不動明王を御本尊として祀る札所が4ヶ所あります。
第36番札所 青龍寺
高知県土佐市にある青龍寺の御本尊は、波切不動明王です。
「波切」という名前には、海にまつわる伝承があります。
弘法大師が唐から日本へ帰る途中、海上で嵐に遭った際、不動明王が現れて荒波を鎮めたという伝承から、波切不動明王として信仰されています。
青龍寺は海との関わりが深い札所でもあり、現在も波切不動明王への信仰が受け継がれています。

第37番札所 岩本寺
岩本寺は少し特殊な札所です。御本尊は一尊ではなく、
- 不動明王
- 観世音菩薩
- 阿弥陀如来
- 薬師如来
- 地蔵菩薩
の五仏が祀られています。
そのため、岩本寺では不動明王にもお参りすることができます。
岩本寺に伝わる由来では、弘法大師がこの地を訪れた際、仁井田明神に関わる五つの社と五体の本地仏を結びつけたことが伝えられています。

第45番札所 岩屋寺
愛媛県久万高原町の山中にある岩屋寺。
標高の高い場所にあり、巨大な岩峰や岩窟に囲まれた、四国八十八ヶ所の中でも特に印象的な山岳霊場です。
岩屋寺の御本尊は不動明王です。
伝承によると、弘法大師がこの地を訪れた際、木造と石造の不動明王像を刻み、木像を本尊として本堂に、石像を奥の院の岩窟に安置したとされています。
「不動明王」という仏様だけでなく、山そのものが修行の場となっているような雰囲気を感じられる札所です。

第54番札所 延命寺
愛媛県今治市にある延命寺の御本尊は、不動明王です。
伝行基菩薩作とされる不動明王が祀られています。
延命寺には「火伏せ不動尊」もあり、火難除けの信仰でも知られています。
また、1月28日の「初不動」や12月28日の「納め不動」など、不動明王にゆかりのある行事も行われています。

お遍路で不動明王に出会ったら
不動明王は、見た目の怖さから「怖い仏様」という印象を持つかもしれません。
しかし、その怒りの表情は、人々を苦しめるためのものではありません。
迷いや煩悩を断ち切り、正しい道へ導くための力強い姿です。
お遍路では、長い旅の途中で迷ったり、疲れたり、心が折れそうになったりすることもあります。
そんなときに不動明王の姿を見ると、
「もう一度、前へ進もう」
という気持ちになれるかもしれません。
四国八十八ヶ所を巡る際には、ぜひ不動明王の姿だけでなく、その札所に伝わる歴史や伝承にも目を向けてみてください。
まとめ
不動明王は、迷いや煩悩を断ち切り、人々を正しい道へ導く仏様として信仰されています。
四国八十八ヶ所では、
第36番 青龍寺
第37番 岩本寺
第45番 岩屋寺
第54番 延命寺
の4ヶ所で、不動明王を御本尊としてお参りすることができます。
特に第36番青龍寺の波切不動明王や、第37番岩本寺の五仏など、札所によって不動明王との関わり方は異なります。
次に四国遍路をするときには、
「この札所の御本尊はどんな仏様なのだろう?」
という視点からお参りしてみるのも、お遍路の楽しみの一つです。







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