四国八十八ヶ所に同じ名前の寺があるのはなぜ?
四国八十八ヶ所を歩いていると、「また国分寺?」「大日寺って前にもあったような……」と思うことがあります。
実は四国八十八ヶ所には同じ名前の札所がいくつか存在します。
| 寺名 | 寺数 |
|---|---|
| 国分寺 | 4ヶ寺 |
| 大日寺 | 3ヶ寺 |
| 観音寺 | 2ヶ寺 |
なぜ同じ名前の寺が複数あるのでしょうか。四国八十八ヶ所を実際に歩いて巡った筆者が、それぞれの違いや由来を解説します。
国分寺が4ヶ寺ある理由
15番札所

29番札所

59番札所

80番札所

四国八十八ヶ所には4つの国分寺があります。
| 寺名 | 所在地 | 宗派 | 本尊 |
|---|---|---|---|
| 15番札所 国分寺 | 徳島県 | 曹洞宗 | 薬師如来 |
| 29番札所 国分寺 | 高知県 | 真言宗 | 千手観世音菩薩 |
| 59番札所 国分寺 | 愛媛県 | 真言律宗 | 薬師瑠璃光如来 |
| 80番札所 国分寺 | 香川県 | 真言宗 | 千手観世音菩薩 |
国分寺という名前は、奈良時代に聖武天皇が全国に建立を命じた「国分寺」に由来します。
当時の日本は現在の都道府県ではなく「国(くに)」と呼ばれる行政区分で分けられていました。阿波国・土佐国・伊予国・讃岐国にもそれぞれ国分寺が建立され、その寺院が現在も札所として残っています。
そのため四国には4つの国分寺が存在するのです。
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大日寺が3ヶ寺ある理由
4番札所

13番札所

28番札所

四国八十八ヶ所には3つの大日寺があります。
| 寺名 | 所在地 | 宗派 | 本尊 |
|---|---|---|---|
| 4番札所 大日寺 | 徳島県 | 真言宗 | 大日如来 |
| 13番札所 大日寺 | 徳島県 | 真言宗 | 十一面観世音菩薩 |
| 28番札所 大日寺 | 高知県 | 真言宗 | 大日如来 |
「大日寺」の大日は、大日如来を意味しています。
大日如来は真言宗で特に重要な仏さまであり、弘法大師空海とも深い関わりがあります。そのため大日如来を本尊とする寺院や、大日信仰に由来する寺院が各地に建立されました。
大日寺なのに本尊は十一面観音?
3つある大日寺の中でも、特に興味深いのが13番札所の大日寺です。
寺名からすると「大日如来が本尊なのでは?」と思いますが、現在の本尊は十一面観世音菩薩です。
なぜ大日寺なのに、本尊が大日如来ではないのでしょうか。
その理由を知るには、かつてこの寺が一宮神社と深く結びついていた歴史をたどる必要があります。
13番札所大日寺は、弘法大師がこの地で修法をしていた際、大日如来像を彫り、それを本尊として堂宇を建立しました。これが「大日寺」という寺名の由来とされています。
ところが、その後、大日寺は一宮神社の別当寺となり、神社と同じ境内に置かれることになります。
当時の一宮神社では、行基菩薩作と伝えられる十一面観音像が本地仏として祀られていました。
江戸時代には一宮神社が札所として参拝され、納経も行われていたとされています。
しかし、明治時代になると神仏分離によって神社と寺は分離されます。
このとき、大日寺はもとの寺名に戻り、もともと一宮神社で祀られていた十一面観音像が大日寺の本尊となりました。寺名の由来となった大日如来像は脇仏として祀られることになりました。
これは、神と仏が長い間ともに信仰されてきた日本の宗教文化を感じられる一例でもあります。
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観音寺が2ヶ寺ある理由
16番札所

69番札所

四国八十八ヶ所には2つの観音寺があります。
| 寺名 | 所在地 | 宗派 | 本尊 |
|---|---|---|---|
| 16番札所 観音寺 | 徳島県 | 真言宗 | 千手観世音菩薩 |
| 69番札所 観音寺 | 香川県 | 真言宗 | 聖観音菩薩 |
観音寺という名前は、観音菩薩への信仰に由来しています。
観音菩薩は古くから広く信仰されており、全国各地に観音寺という寺院があります。そのため四国八十八ヶ所にも同じ名前の札所が存在しています。
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同じ名前でも別の寺
国分寺・大日寺・観音寺は同じ名前ですが、寺院の歴史や宗派、本尊、建立の由来はそれぞれ異なります。
歩き遍路をしていると「また同じ名前の寺だ」と思うことがありますが、調べてみると全く別の背景を持つ寺院であることがわかります。
まとめ
四国八十八ヶ所に同じ名前の寺があるのは偶然ではありません。
- 国分寺は聖武天皇による国分寺建立が由来
- 大日寺は大日如来信仰が由来
- 観音寺は観音菩薩信仰が由来
- 神仏習合などの歴史を経て、現在の寺名や本尊が、もともとの姿と異なっている寺もある
同じ名前の寺が複数あることも、四国遍路の歴史や信仰の広がりを感じられる面白いポイントです。
歩いている途中で「また国分寺だ」と思ったら、ぜひそれぞれの寺の由来にも目を向けてみてください。











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